循環型社会の中で環境と健康を考えるロハスなくらし お問い合わせ

道元の教えに学ぶロハスデザイン

 
水を知る 土に気付く 火に学ぶ 関西文化とロハスデザイン ロハスデザインの実践  
TOP>水を知る>水道水は安全か>水質の汚染の実態

水を知る

柄杓で汲んだ水で手を洗い、そして柄杓の底に残った水を川へ還したという道元は、いくらでもあるような水でさえ粗末にせず大切にしていました。 その私たちが当たり前のように使っている水。今、水は様々な問題を抱えているのです。

水道水は安全か

◆水質の汚染の実態

■名水の里の危機
  福井市から越美北線に乗り約50分。北陸の小さ盆地に位置するのが、人工約3万9000人の大野市だ。織物のまちとして知られるが、冬の京料理に欠かせない里芋の1種、大野芋の産地でもある。形が美しく、煮くずが少なく独特のうま味は、この地の土壌と水から生まれる。

  北東にそびえる霊峰白山から大野市までは人家も少なく、自然が残され、伏流水が名水として尊ばれている。 一般に、湧水が湧き出す地域にはお社が多い。市内にあるお社は白山神社だけで30ヵ所を超え、すべてを合わせると50カ所以上にもなる。小さな市にここまでのお社がある例を筆者は知らない。日本100名山の1つである白山と名水100選の湧水がまさに一体となった場所といえる。
 ところが、この名水のまちに異変が起きていた。それを筆者が知ったきっかけは、2001年の夏。夕涼みがてらに訪れた理髪店でのことである。待ち時間に何気なく手にした『週刊朝日』(2001年8月17・24日合併増大号)をめくっていると、「『水の里』大野の危機」という見出しが飛び込んできた。そこには、社会評論家・高杉晋吾氏の取材記事が掲戦されていた。

  「大野市の水源地にある採掘を休止した鉱山に、大量のごみの焼却灰が投棄されている」という投書にもとづき現地調査したのが、記事の概要である。初めは、「まさか、そんなバカなことが」と思った。大野市では、市民の多くが地下伏流水を生活用水としている。そうした地域で、よりによって、水源となる川の上流にある鉱山にごみの焼却灰を投棄するなど、通常では考えられない。
 しかも、深刻なのは、ここに投棄された廃棄物に何が含まれているのか不明なことだ。それを明確にするには、掘り起こして調査しなければならない。わかっているのは、焼却灰が旧鉱山の坑道に廃棄されているという事実のみである。

 『週刊朝日』は前後3回にわたり、高杉氏の現地取材を掲載した。一連の記事によると、廃棄物投棄は大野市内の処分場が満杯になった1986年から始まり、福井市などの焼却灰も含めて01年までに合計21万トンが廃棄されたという。かつての坑道がごみ処理場として「有効利用」されているのである。その鉱山は日本亜鉛中竜鉱山で、87年までおもに亜鉛を採掘してきた。抗口の多くは笹生川にあり、大野市が飲む地下伏流水は、笹生川が流れ込む真名川流域に沿っている。

 日本のごみ焼却場でダイオキシンが検出されたのは、83年。焼却灰にダイオキシンが多く具くまれる可能性が高いことは、当時の厚生省も認識していた。ところが、翌84年には、なんと「安全宣言」を行っている(『ダイオキシン・ゼロを目指す-スウェーデンの環境政策-』NPO法人日本子孫基金発行のポスター)。つまり、焼却灰から検出される可能性を認めながら、「安全性に問題」なしとしたのである。
 言うまでもないが、現在はダイオキシの危険性は周知の事実だ。それも、古いものほど高温で焼却されておらず、危険性が高い。古い坑道に焼却灰を廃棄しているのが事実であれぱ、地下水を守る市民運動も無になってしまう。



■水道水の実態
 硝酸塩に汚染されているのは野菜ばかりではない。野菜が吸収しきれない窒素成分は、じわり、じわりと地下水に流れ込む。これが河川や湖にも及び、水道水にも移行する。人間は、野菜と飲料水から硝酸塩の9割を摂取するのだから、野菜はもちろん、水にも神経を配らざるを得ない。残念ながら、日本の地下水の硝酸塩濃度は高くなっている。
 その原因の多くは、窒素肥料の過剰使用だ。また、家畜の糞尿、生活雑排水も硝酸塩濃度を高めてしまう一因となっている。

 そのため水道水の水質基準は平成4(1992)年、大幅に改正された。水質基準に関する検査項目に、新たに化学物質に関する項目が加えられ、47項目がその対象になっている。硝酸塩濃度もこの対象となり、その基準は硝酸性窒素で1・中10mg以下。これはWHOのガイドラインに沿って法律で定めたものだ。かつて39人もの乳児が酸欠状態になって新だブルーベビー事件では、井戸水の硝酸イオンは1・中45mgだった。これを硝酸性窒素で見ると約10mg/・で、現在の水道水の基準と変わりない。つまり、基準をぎりぎりクリアした程度では安心はできないのだ。

 全国の水道水の事業所は約5600ヶ所。市町村など自治体の管理下にあり、水道水に含まれる硝酸塩濃度の検査は、月に最低一度の検査が義務づけられている。その検査データは厚生省に定期的に報告されている。そこで水道水の汚染状況について厚生省に問い合わせてみると、現在問題のある事業所は一ヶ所しかない、という。

 しかし、実際に計測器で検査してみると、国の基準を大幅に上回る水道水はざらにある。例えば、埼玉県や千葉県で地下水を利用している水道水を計測してみたところ、平均は基準の2倍にあたる20mg/・だった。WHOとFAO(国連食糧農業機関)の専門委員会は、硝酸塩含有の水を飲んだ乳幼児が起こした中毒事故に触れ、「硝酸イオン22mg/・以上の水を乳幼児に飲ませるべきではない」と警告している。調査した水道水は、乳幼児に飲ませていけないレベルに近い。何もここが特別ひどい水道水を使っているわけではない。調べればほかにもたくさんあるのだ。

 

■井戸水の半分がアウト
日本の水道水は、河川、湖などを水源とするところが多いが、熊本市や宮崎市などのように地下水を直接水源としているところもある。

環境庁は、平成6年度から8年度の3年間にわたり、5548ヶ所の地下水を調べた。
その結果、4.7%に当たる259ヶ所で「硝酸性窒素および亜硝酸性窒素」の指針値(10mg/・)を超えていることが判明した。平成9年度の調査では、2654ヶ所のうち6.5%にあたる173ヶ所が指針値を超えている。
なお「硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素」は、つい最近まで環境基準項目ではなく要監視項目だった。そのため「指針値」という扱いだったが、1999年2月になってようやく環境基準に"格上げ"されたことを付け加えておこう。

次のデータ(表)を見てほしい。
osen01.gifこの調査では施設園芸用地の地下水から最高77.4mg/・(77.4ppm)の硝酸窒素が検出されているのだ。また自治体や大学が独自の調査を行っているが、手元にある資料からいくつか紹介する。
●宮崎県都城市-1150本の井戸のうち、13.1%に当たる151本が水道法の基準を超えた。
  これは環境庁調査(94年~97年)の約3倍の比率(宮崎日々新聞1999年5月7日)。
●千葉市-調査した井戸の約50%が環境庁の基準値を超え、最大で基準値の4.8倍(48mg/・)
  (読売新聞2000年2月5日)。
●鳥取大農学部が鳥取砂丘周辺の井戸水から環境基準の3.5倍の硝酸性窒素を検出
  (読売新聞2000年4月8日)。

ほんの一部を紹介したが、これだけでも汚染の深刻度が分かる。千葉市の若葉区では、硝酸除去装置の設置に助成を始めるほど汚染が広がっている。
こうしている間にもじわり、じわりと硝酸性窒素が水源に流れ出していく。最終の行き先は、私たちのからだの中なのである。



 



戦略WEB|RAYCREATION|WEB戦略