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土に気付く

道元の『典座教訓』の教えによると、食事をつくるということは 非常に大切な行為でした。食材をむだなく活かすことは食べる人への 心配りが求められるからです。私たちが普段購入している食材や調理について知ることは自分のみならずそれを食する人への配慮になります。

土の汚染の原因と実態

◆地域の実態

   ■ビニールハウスに覆われる熊本
熊本県は、1998年の統計で、慢性透析の人口比率が鹿児島県、大分県に次いで全国第3位その前年は第1位だった。過去15年以上は常にベストスリーを維持している。冬季に飛行機で熊本上空から下界を見下ろすと、農地のすべてがビニールハウスで覆われているかのような光景が目に飛び込んでくる。それほど施設栽培が多いのだが、トマト、メロン、スイカの施設面積は際だって大きく、長年日本一の施設栽培面積を保っている。

私は日本全国を回り、多くの生産者、農業関連会社、農協組織などの人びとと接している。その経験から、県民性と農業生産者は関連性があるように日々感じているのである。
熊本の県民性は、あらゆる面で負けん気が強く過当なほどの競争意識が強いとよくいわれる。なるほど、私が日々接している農業関係者を見ていても思い当たるふしがある。
こうした県民性も手伝ってか、一日も早い収穫、他人よりも少しでも多い収穫をという意識が強いようだ。この勢いで、京阪神、東京の市場を圧倒的な量で制覇しているのだ。このようなバイタリティーで効率性を追求する反面、農業に求められるきめの細かさに欠けるきらいがあるように私には思える。

契約栽堵されている青汁の原料・ケールの栽培地も熊本が多いが、無農薬、有機堆肥の使用とも非常に少ない。面積当たりの収穫量を追求する限り、化成肥料による促成栽搭で一気に収量を上げる方法を取らざるを得ない。また、作物の病気と虫の対策に生産農家は多くの農薬を利用している。農業生産における収益性と効率は欠かせない条件ではあるが、白然界が定める一定の条件を超えて要求することは、収穫される野莱に影響するだけでなく、土壌と地下水に長期間に渡り悪影響を及ぼす。実際、すでに各地にその傾陶が出始めており、その結果として熊本が慢性透析の人口比率がきわめて高いことにも表れているのではないかと推測できる。

熊本地城は阿蘇山の伏流水を飲料水として利用している家庭が多い。50万都市のなかで、日本で唯一地下水源を水道水に利用しているのが熊本市である。そこが市民の自慢の一つでもある。ところが環境庁のデータでは、市内の地下120mの地点でさえ、硝酸塩濃度は、飲料水基準の八倍に当たる80ppmに達しているのだ。農業の生産地も阿蘇山の山腹から下流に沿って大生産地が連なっているので、井戸水を飲料水としている地城の硝酸塩濃度を徹底的に検査する必要がある。
県内を流れる菊池川も昔の清流のイメージからはほど遠く、下流の玉名市付近ではかなり汚れが目立つ。この菊池川の上流には多くの畜産団地が点在しているので、ぜひともこの川の流城の硝酸塩濃度を調査するべきだ。慢性透析の人口比率が日本のトップクラスを占めつづける汚名を晴らす意味でも、県をあげて正常な有機農業への転換と地下水の調査を行うべきだろう。

 


■江戸時代から続く徳島農法
e.jpg慢性透析の入口比率がトップクラスの徳島はどうだろうか。10年前は全国一の慢性透析の人口比率であり、現在も高比率を維持している。徳島、淡路は江戸時代の藩政下で確立された農業環境が今も息づいている。江戸時代、この地方は藍栽培が盛んで、市場に売り出して利益を得ていたのである。水稲以外の農業生産を維持し、それを換金作物としていたわけである。裏作がしっかりしていたために農業がビジネスとしてなりたっていたともいえよう。江戸時代型のアグリビジネスとでもいおうか。つまり、年間を通して、農地を遊ばす習慣は江戸時代からなかったのだ。

隅々まで行き届いた栽培計画は現在も伝統として生きている。契約栽培的な栽培品目が多く、この地域は面積当たりの収穣量と品質ではおそらく世界一だろう。契約裁培とは、流通業者や量販店などと文宇通り契約するのだが、重量で何㎏というかたちで契約が交わされる。別の言い方をすれば、野莱が工業製品のように扱われるといってもいいだろう。
そのために安定して出荷できる施設での促成栽揺が必要になり、それを支える栽培技術も非常に高い。ダイコン、タマネギ、ニンジン、サツマイモ、レンコン、ゴボウ、冬春レタス、野沢莱、ナス、ホウレンソウなど、この地域の生産者は多品目の野莱生産を経験しており、収益性が高い。また、ビジネスとして農業が定着していることから、専業農家が多い。それだけに施設園芸の面積は多く、年間に2~3作、多い品目では4作をこなす生産者もいるくらいだ。
このような農業環境にあるため、慢性透析の人口比率のデータを見たとき、いちばん初めに気になった地方がほかでもない徳島県だった。施設園芸が大変多く、熊本と同様に慢性透析の人口比率が高い地域であるが、相違点もある。農業技術のレベルが熊本より少し高く、必要以外の肥料を入れることが少なく、計画性が高い地域である。各農家は生産数量と同時にトータルな利益を追求している。それだけに(農協)によって管理されるのを好まない生産者が多い。

さらに熊本では菊池川上流に農業生産地が集中しているのに対し、徳島県内を東西に流れる吉野川の上流地域に、集中した農業生産団地が少ないという違いがあげられる。日本の農業生産地のなかでは技術レベルも高く、有機農業への技術的転換は短期間で可能な地域である。農業が地域産業に占める比重も高く、行政の経済的支援と契約栽培の品質基準に硝酸塩濃度も入れて価格を提示することによって早い解決ができるはずだ。
一方、淡路島の北部地域は、施設の花栽培の伝統的な産地である。その歴史は古く、特に冬季、京阪神地域をマーケットにしている。1990年に行われた「花と緑の博覧会」(花博)は、明石大橋の完成に合わせてその伝統を生かした行事であった。島の南部はタマネギと冬期のレタス、ハクサイの古い生産地であり、こつこつとまめに働く古い伝統が今も残されている。

 


■牛と豚と鶏
宮崎と鹿児島は、離島を除いて農業形態は大変類似している。西日本のなかでは1戸当たりの耕地面積が広く、霧島地域を除くと温暖である。台風時期を避け、温暖な気候を利用して秋、冬、初春の施設園芸が盛んである。また、鹿児島には火山の桜島があることから、桜島の東側から宮崎県の都城市にかけての地域は、長年火山灰に悩まされてきた。火山灰を避ける目的で施設園芸が推進されてきたという事情もある。早くからこの地域は、施設園芸の盛んな高知、和歌山の園芸品目をならい、海岸に近い地域は施設面積を拡大している。ピーマン、キュウリ、カボチャ、豆野菜などの生産が特に多く、冬季はこの地域の生産状態が日本の野菜市場価格を左右しているくらいだ。内陸部は集約的で大規模な畜産、鶏卵、ブロイラーの生産団地が集中している。
1999年の農業統計によると、鹿児島県と宮崎県の畜産と養鶏は次のようになっている。鹿児島県は、養鶏、ブロイラー9,899,000羽、豚1,393,300頭、牛341,500頭。一方宮崎県は、養鶏、ブロイラー4,496,000羽、豚776,600頭、牛269,000頭となっている。鹿児島と宮崎で全国の15%以上を生産しており、日本の一大生産地である。
これだけの数の家畜がいるということは、当然その排泄物も多くなる。表1は、家畜の排淮物を窒素の量に換算したものである。鹿児島32,778tで日本一。宮崎は22,717tで第2位。
面積に対して適切な量を計画し、飼育している場合は、家畜や養鶏の排泄物は窒素成分として有機堆肥になり、農業生産に貢献する。しかし、この地域では家畜の排泄物を野積みにしたままで堆肥に転換されず、公害の原因となっているケースもある。家畜の排泄物を投棄する場所として、遊休農地を賃貸で提供しているところまである。バブルの時代は多くの圃場が芝の栽培に利用されていたが、バブルがはじけると芝の栽培も採算がとれなくなり、圃場が畜産廃棄物の捨て場所と化してしまっているところも多いのだ。

 農業に生産効率を求めた昭和40年代から、常に生産性という名のプレッシャーを農地や生産者にかけ続けてきた、そのツケがはっきりと現れているのだ。消費地の都市では、青果物から派生する生ゴミの処理に環境対策が求められ、一方の生度地は、効率化のプレッシャーから土壌や地下水にまで環境汚染が浸透している。大都市から見ると、一見牧歌的に見える農村だが、現実には厳しい自然環境にさらされている。農業地域は財政的支援が投入されて優遇されているように、都市生活者からは見られがちである。公共事業の投資は水稲を中心とする地域に特に多く、農業収益が一定の安定した生活ができる地域は少なくなっている。
 しかし政府が行っている財政的支援は農業を育てるものでなく、直接農業に関係ない公共事業すなわち土木建築に向けられ、農外所得に頼る生活形態が継続されてきた。農業の自立性を欠き、農外収入の公共事業に依存する体質を促進する政策が、現在の異常な国債の発行額や財政のアンバランスをつくる原因の一つとなっている。実質的な農業生産に寄与する支援は少なく、生産者も農業を重要視する生活から離反したことがこの悲劇の原因である。

表1 日本農業年鑑-1999年より抜粋し作成する
  窒素換算量(t)
鹿児島 341,500 1,393,300 9,899,000 32,778
宮 崎 269,000 776,600 4,496,000 22,717
熊 本 198,100 275,600 2,994,000 14,736
栃 木 166,200 313,400 3,286,000 13,166
群 馬 130,500 607,900 4,237,000 13,172

※家畜の年間窒素成分排泄量換算
  牛=60kg/年、豚=6kg/年、鶏=0.4kg/年
  牛は500kg重量の平均排泄量