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火に学ぶ

道元による調理の心得とは、「喜心」「老心」「大心」の三心が大切とされています。 それは主に食べる人への心配りを指しているのですが、科学の発展した今、調理時の熱エネルギーについての正しい知識をもつことで、人だけではなく環境へ配慮することも求められています。

火の性質と調理加熱

◆熱吸収波長と遠赤外線

■食材の熱吸収波長
食材にはそれぞれ異なった熱吸収波長が存在し、食材が持つ最適な熱吸収波長を火の質と最適加熱温度を工夫し、多くの道具を開発し、最適な熱波長を吸収させていたのである。
その結果、素材から基礎的栄養成分を豊富に含有させる料理を作り出している。
食品の多くは、含水量が多い。野菜の多くは、70~80%が水分であり、魚類も生の状態では、70~80%が水分である。

雑穀や乾物を煮たり、炊いたりする料理は古くから一度含水させてから調理している。
縄文土器には雑穀の種子が土器の底で炭化している状態で見られ、この時代から炊き方の工夫が考えられる。
食品の熱吸収波長の領域は水の吸収する波長の領域と有機物の吸収する波長の領域から、2.5μm~30μmの範囲である。
2.5~30μmの範囲は赤外線、遠赤外線の範囲の一部に入り、最近、物理学では、遠赤外線とは、云わず、新たに、この周辺領域の波長を電磁波の振動数、テラヘルツの領域としている。遠赤外線はテラの領域の一部である。
食品の熱吸収波長は、水分率、脂質、糖質、タンパク質の含有量によって吸収率のピークとなる位置が異なっている。
水分率が多いときは、2.5μm~3.5μmの波長領域が高い吸収率を示し、脂質が多いときは、10μmに近い位置が高い吸収率を、タンパク質の多い食品は、タンパク質に含有するアミノ酸の含有量から2.5μm~30μm間で、含水率によって変則的な吸収率を示している。
加熱する素材の分子が持つ吸収波長と加熱から輻射する波長が整合すると輻射する波長は全吸収が起きる、このときの現象を「分子振動との共鳴による吸収」と云われている。
食品の熱吸収波長の違いは、最後の章の6項「マイクロ波を利用した赤外線、遠赤外線調理の研究」のなかで、説明する。詳しくはこちら→

調理加熱は、この赤外線、遠赤外線波長の領域を最適温度の状態で波長の密度を高めて食材に吸収させると吸収共鳴によってより早く波長が吸収され、アミノ酸類が増加し、その結果、味覚の良い、美味しい調理になる。
遠赤外線学会においても同様の報告がされている。

 黒い鉄鍋や陶磁器は20℃以下でも遠赤外線の波長を輻射しており、一定の振動を与えると低温で出汁を抽出され、うま味成分が増加している。京料理の昆布だしの抽出方法は、遠赤外線効果の一つでもある。
調理場で出汁を取るのにアルミ鍋やステンレス鍋が多く利用されているが、出汁を取るには適していない。アルミやステンレスの鍋ではこの波長領域の放射率は極めて少ない。
銅鍋は40%近い波長が輻射される。土鍋や黒い鉄鍋が昆布だしの抽出では最適の素材である。
アルミやステンレスの鍋は火や熱から放射される遠赤外線を鍋の内部に吸収し輻射する効率が悪く、電気炊飯器の釜は、最近では、アルミやステンレスは見られない。これは遠赤外線効果から判断し、黒色の鉄結晶素材に変えて作られている。
電気炊飯器が美味しく炊けるようになった要素の一つである。
最近販売された、大阪ガスの炊飯器は4万円以上と高額であるが、釜は陶磁器を黒色に仕上げている。
遠赤外線効果を求めており、放射波長と炊飯温度から見ると理にかなっている。

最近まで、火や熱の質、波長を簡便に計測する方法がなく、京都の長い伝統、調理人の修行から体験的に美味しい、出汁の味覚から判断されていた。食感も大事な調理の感性であるが、食材を加熱する温度と波長の領域から素材に含水する水分率が変わり、ふっくらと弾性のある食感はタンパク質のペプチドの構造が維持されている加熱の方法である。
電子レンジで鶏肉や豚肉を高出力で加熱するとバサバサの感触に変わる、この現象はタンパク質が分子回転によって分離し、ペプチド構造が壊れた状態に変わったことを意味している。
計測科学の進歩で簡便に水質を計測するイオンメーターの開発から水に含まれるイオン値が測定でき、水質検査が簡便になった。
火の質の計測はまだ簡易計測が出来る放射分光度計がなく、今後の開発が望まれている。
食品に存在する個別の吸収波長を計測する意識が始まったのは、遠赤外線学会、20世紀の世紀末からである。
赤外線、遠赤外線領域の2.5μm~20μmの範囲の密度を上げるには、これまでは温度を上げる以外に方法が無く、温度を上げるとこげが生じたり、沸騰すると味覚低下を起こすことがある。こがさないため、沸騰させないための調理は、経験以外になく、調理人の修行の一つが火加減、水加減として行われてきた。
実際は、火の質や水の質から調理全体を判断すると間違いが少ない。


■経験から作られた遠赤外線波長の調理
炭火は遠赤外線の効果から、ウナギやサンマ、焼き鳥を焼くときに利用されている。
ウナギや焼き鳥以外にもコーヒーの店で備長炭の看板がぶら下がっていることがある。
備長炭は、火力が強く、遠赤外線領域の波長密度が高いことが特長である。
焼き魚の現場では、火の強さ加減を整えるために、魚を焼いている網を、上にあげたり、下げたり、火と串の位置を変えている。遠赤外線の波長の吸収量を上げながら、こげを少なくする工夫を心がけている作業である。
焼きながら、アミノ酸類のうま味成分を増加させ、こげないように、焼き上げる工夫がウナギや焼き鳥を焼く調理方法として、受け継がれている。
遠赤外線の密度を上げて加熱調理をするとアミノ酸量が増加し、うま味成分が増すことを経験的に知り、備長炭の名を店の看板として利用されている。

fire11.jpg関西と関東ではウナギの焼き方に違いがあるが、東西どちらの店頭もウナギをさばき、炭火で焼く香りは、たまらなく食欲をそそる。遠赤外線はうま味成分の香りを引き立てる役割も持っている。
最近はウナギの看板の店でも、直火で焼いている店が随分少なくなり、鰻重の蓋を開けるまで香りがしない。
ウナギの味覚の半分は、香りであり、看板とは、裏腹に、価値を逃してしまっている。
中国から焼き上がったウナギが冷凍で物流され、多くの外食店では解凍加熱の状態で売られるために、直火のウナギの香りを楽しむことが少なくなった。

コーヒーも炭火の焙煎は、大変、香りが強く、独特のうま味成分が広がる。
コーヒーの焙煎は、遠赤外線効果が表れやすい。
朝一番、街頭でコーヒーの焙煎の香りが漂っていると、眠気が飛び"よし"と仕事の前に気合いが入ったことを思い出す。
低価格のコーヒーチェーン店の増加が目立ち始めたがコーヒーの香りが極端に薄い、一番安いコーヒーは、都市の空間の提供が目的なのか、コーヒーの販売が商売なのか、疑問な味覚が多い。
香りのしっかりとしたコーヒー店が極端に少なくなっている。

ヨーロッパや西アジアでは、麦や雑穀を粉体にして、水を加えて練り、煉瓦の炉でパンやナンが焼かれている。
フランスではパンを焼く店の香りは、発酵した小麦粉とバターの香りが素晴らしい。
パンを焼く香りは、朝早い散歩の道を立ち止まらせ、コーヒーとパンショップの誘惑に引き寄せられる。
西アジアのナンは小麦粉と塩のこげる香りが強く、同じパンを焼いても、香りに地域性がある。黒い大きな八文字の髭をなぜ大きな眉毛の下からにっこりと目の合図は、美味いぞと誘う動作は、西アジアの街路の炉端で売るナンの香り、この香りもやはり遠赤外線の効果である。
紀元前の時代、エジプトやユーフラテスの四大文明以前に既に煉瓦の炉が作られており、麦や雑穀を粉にして水を加え、練りながら、形を整え、発酵させ、煉瓦の炉に入れ、火加減を調整している。煉瓦の炉は、火を一気に燃え上げるのでなく、煉瓦を焼き、煉瓦の予熱を利用し時間をかけてパンやナンを焼いている。
この時代に既に、美味しく焼き上げるパンやナンに最適な熱波長吸収の方法が作り上げられている。

麦類や雑穀を粉体にして作られやたパンやナンを焼くのに最適な温度と波長は、炉の温度が250~300℃、熱放射によって2.5μm~30μmの赤外線、遠赤外線波長を放射すると香ばしい、麦や雑穀の発酵した香りで焼き上がる。
偶然にできたのか、数多くの経験からつくられたのか、科学的分析データから見ると、最適なパンを焼く、赤外線、遠赤外線放射の波長と温度であり、火加減である。
ガスで焼く、オープンレンジや電子レンジのオーブンが家庭用に出始めた昭和の40年代の始めの頃は、一定の温度を加えることで美味しいパンが焼けると判断し、調理機器が販売されたが、大きな普及にはならなかった。当時のオープンレンジでは、遠赤外線波長の密度が少なく、美味しく焼けなかったからである。
煉瓦の炉とガスオープンとの温度や時間を同じにしても味覚に違いがあり、味覚の違いが温度と時間だけではないが解り始めた。そこでガスオーブンの中に煉瓦を入れ、煉瓦を加熱し、その予熱で焼くと美味しくパンが焼けるようになったのである。
当時は食材が持つ熱吸収波長を科学的に解明するには至っておらず、経験的に利用されていた。



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