循環型社会の中で環境と健康を考えるロハスなくらし お問い合わせ

道元の教えに学ぶロハスデザイン

 
水を知る 土に気付く 火に学ぶ 関西文化とロハスデザイン ロハスデザインの実践  
TOP>火に学ぶ>火と文化>調理の科学と日本料理の原点

火に学ぶ

道元による調理の心得とは、「喜心」「老心」「大心」の三心が大切とされています。 それは主に食べる人への心配りを指しているのですが、科学の発展した今、調理時の熱エネルギーについての正しい知識をもつことで、人だけではなく環境へ配慮することも求められています。

火と文化

◆調理の科学と日本料理の原点

■調理は科学である
人類が食べるために積み重ねてきた経験や知恵は、今では習慣的に見られがちであるが、実際は科学的な要素が積み上げられている。
美味しく調理することは、大変科学的である。
人間が美味しいと感じる感性は、科学的要素が伴っており、体験的な科学の基礎になっている。
どのような科学も基礎があるように、味覚にも基礎がある。
味覚の基礎は、それぞれの食材の素材の味覚を知り、形状や外観から味覚が判断でき、同じ素材でも生育した環境によって味覚の違いがある。
素材の味覚が優れていることは組成の栄養成分が優れた構造にある。
素材が持つ遺伝子から最適な栄養成分が構成されたときは生育環境に整合し、素材の優れた品質として美しい形状や色調を作り出している。美しさや色調を判断する感性は、豊かな科学性や科学的判断力を養う要素になる。
シンプルな素材の味覚が判断できることは、豊かな感性が育まれ、豊かな感性によって、科学的、分析的能力が自然に高まることを示している。

毎日食べている米粒にも品種によって形状が変わり、大きさや光沢に違いがある。
美味しいお米には外観で判断できる優れた形状がある。
美味しい食べ物は、全て美しい形状によって作られている。
特に京料理の特長は、素材の基礎的な味覚を引き立て、素材の形状を如何に美しく整えるか、素材の持つ色を如何に残して加熱するかに重きがおかれており、水や薄い出汁によって素材の持つ基本的な味を生かす調理である。
日本料理は、水や出汁を加熱し熱伝導を利用し調理していることが多い。
日本は、良水が簡易に手に入り、常圧で沸点が100℃、この温度は、多くの食中毒菌を除菌でき、比熱も大きく、熱伝導性にも優れ、食材に最適な熱吸収ができる方法である。
調理では、水の量と熱量のバランスから、水加減と火加減によって味覚を整えている。
水煮は、日本料理に多く見られ、素材に水だけを入れ、加熱し素材だけの味覚を知る調理の方法である。


 ■日本料理の原点、京料理
日本料理とは、一般的に京都から発達した京料理を指すことが多い。
京都の水は、水質にミネラル分が少なく、一年間を通して水質のミネラルバランスが安定していることが素材の味覚を引き出す調理に好都合となっている。
日本料理の原点、京料理は、素材が持つ味覚を引き出す手法が調理の基礎になっており、世界に類を見ない素材の淡泊な味覚を尊ぶ料理である。
水から低温で出汁を取り、出汁の味覚を整え、沸騰点よりも低く、常温よりも少し高い温度で、長時間かけて、出汁を作り上げる技法は、世界で稀な方法である。
野菜を煮る方法も沸騰させずに、とろ火で時間をかけて、形を崩さずに、素材のなかに出汁を含ませる技法は、独特の衛生管理と安全性を作り出している。
京料理の食材の多くが海産物の干物や乾物、雑穀と野菜である。
干物や乾物は調理の始めに水分を含ませ、それからゆっくりと、とろ火で加熱し、時間を掛けて軟らかく仕上げている。竈の残り火を無駄にしない料理方法である。
京都は煮物に最適な軟水の地下水が豊富に得られ、その結果、薄口の味覚を作りだす基礎になっている。

京料理の基礎となる薄口の味覚は、京都の都市が作られた歴史的背景にあり、土地の区分、地割りの構造、町屋の構造からも必然性が見られる。京都は江戸時代の街作りは、町民の1軒分が、間口2間半(4.5m)~3間(5.4m)で区割りされている。1軒1軒が奥に細長い構造であり、その狭い間口に玄関となる土間があり、店の間、台所と奥の間の間に走り(流し)、竈、井戸と水屋がある。家屋の中では台所の幅に限界があり、その中に竈を作り、排煙の構造を作り出している。
大きな竈をいくつも持つ家は限られている。
燃料は割木や柴と炭であり、炭は高い燃料の一つである。当時は煙突はなく、子屋根の排煙場所が作られており、家庭の中に石綿の煙突が付けられたのは明治になってからである。

京都の庶民の歴史は、町屋の文化であり、密集した家屋が並び、火の元を大きくして、火力上げることは、常に火災の危険であり、台所の火の管理は、慎重でなければ、生活できない町屋の生活が想像できる。
その結果、火力の小さな火元から調理を作り、火力を大きく上げない食文化が経験的に作られている。
竈に火を入れるにも、始めに五穀を炊く火を入れ、その火の火力が強くなると次ぎに鍋の竈に火を移し、とろ火を利用し、菜や汁物を煮て調理している。
とろ火でゆっくりと煮付けることが、野菜などの煮くずれしない煮方の調理を作る要素になり、シンプルな素材の味覚を引き出す料理になっている。
軟水の水の質と、火力の弱いとろ火の火加減が、日本料理の基礎になる薄口の味が作られている。
釜や鍋の構造には、その地域の調理の方法によって違った構造をつくり出しており、それぞれ加熱の考えに意味がある。
利用されている食材とその種類によって料理の方法が変わり、鍋の構造に違いがある。

日本料理の鍋には、多くの種類があるが、煮付ける鍋は、中華の鍋よりも深く、西洋料理に使う胴筒よりも浅い、鍋の深さや大きさは、水が沸騰したときに膨張し溢れない高さと熱の温度分布が全体に安定する熱輻射の効率から構造が作られている。
調理の量に応じて、大中小の大きさ、深さ、素材の厚さを分けて選択している。
低温で加熱するときには、熱放射を少なくし、安定し低温が維持できる素材に厚さが作られ、熱が食材の内部に浸透し、外部に熱輻射を少なくした構造から素材の厚が工夫されている。
高温で調理する鍋は、具材が温度によってこげないように、鍋の口を大きく広げ、熱放射率を高めた構造になっている。中華鍋の多くは、熱放射を目的に大きく口が広がった構造である。ゲートルでかき回しやすい構造でもある。
天ぷら鍋も比較的この構造に近い。
釜を利用する調理は、雑穀などの粒子の水分率が少なく硬い食物が炊かれる場合が多く、水分の浸透性から、高温になった水分や蒸気が粒子に浸透しやすくするために、熱放射率を低くし、半球形に近く、予熱が大きくなる構造で作られている。材質も肉厚のある素材を利用する。鉄、陶磁器などである。


戦略WEB|RAYCREATION|WEB戦略