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火に学ぶ

道元による調理の心得とは、「喜心」「老心」「大心」の三心が大切とされています。 それは主に食べる人への心配りを指しているのですが、科学の発展した今、調理時の熱エネルギーについての正しい知識をもつことで、人だけではなく環境へ配慮することも求められています。

火と文化

◆世界の加熱方法~直接加熱

調理加熱の方法には、直接加熱と間接加熱があり、先進国で直接加熱の調理を好む民族は、主に雑穀類を粉体にして、炉を作り、煉瓦の輻射熱を利用し、パンやナンを焼き、羊や牛の肉も炉に入れて焼いている。
世界的に見ても豚はあまり直火で焼いていない。豚肉は直火で加熱すると温度むらが生じやすく、加熱温度が均一になりにくく、加熱が不十分な部位を作ると食中毒の原因になりやすく、全体にしっかり時間を掛けて加熱される加工が多く、蒸し焼きや煮込み、塩分を多く入れたハム等の加工が多い。

食中毒や伝染病による集団的な死亡例は過去に多く、コレラ、赤痢菌は現在でも各地で発生している。経口伝染病の一つコレラ菌による伝染病の歴史は古い。
家畜のなかでも豚は、コレラ菌の感染に強く、豚コレラに感染した豚肉から人類に伝染し死亡した事例は多く、豚の加熱は世界的に慎重である。回教徒では豚を食べない教えがあるが、汚れた動物として見られている。回教徒の多い中近東では、直火的な調理が多く、豚肉を直火で加熱すると加熱むらから生じやすく食中毒の回避が禁止の主因とも考えられる。

豚肉を焼く道具として串の利用が多い。マーシャル諸島では、肉や魚を焼くのに竹の串を多く利用されている。大きな肉の塊では、鉄串を指し、中心部に熱が通りやすくする工夫が見られる。豚を焼くときは、必ず中心に鉄串を指し、温度を均一に入れる工夫をしている。竹の串は、竹の油が肉に浸透し、中心部を均一に加熱している。日本では魚や焼き鳥に串をさして焼くことが多く、竹串や鉄串も同じ意味がある。調理人の修行には、魚の串打ち3年と云う言葉があり、串打ちにも3年の経験が必要としている。日本の魚の串打ちには、焼き上がりの姿の美しさと全体を加熱する工夫から串が利用されている。京都の錦市場には焼き魚専門店があり、焼き上がった魚は、頭と尾が天井を向いて、づらーと串に刺された焼き魚が並んでいる。三陸海岸から福島県の海岸線の港町には、炭火に竹串であぶった魚が真っ直ぐ立てて並べて売っている。外国人を観光で案内すると珍しがり、フイルター越しにバチパチと覗いている。

fire01.jpg日本人は魚や肉を直接直火で焼く調理を好み、表面が少し、こげる香りやこげる味を好む特長がある。青海苔や海苔、干物は、あぶることから乾いた、こおばしい香りから食欲が沸きあがるが、この現象は日本人独特の食の感性のようである。魚も肉も日本人は、塩味だけを好み、素材の味を楽しんでいる。欧米では、家庭に魚焼き器が付いたガスコンロはなく、魚のこげる臭いを大変にいやがり、賃貸などのアパートメントで焼き魚の調理をすると苦情がよせられ、場合によって退去の要求が来る。日本人の美味いとする感覚にご飯のこげ目、魚の焼き目、お好み焼きやたこ焼きのソースの焦げ、焼き肉の薄くこげる香り、イモや栗のこげなど、こんがりと焼き目を入れる料理を好むが、この味覚は世界共通ではない。フランス料理ではこげは嫌らわれ、如何にこがさないかが調理人の責務になっている。
欧米の肉を加熱する調理は、多くのスパイスと多量の塩を利用する。日本人が魚を焼くときに塩をふる、塩のふりかたにも地域差があり、東北や北関東は厚い塩のふりかたが多く、西日本では軽く塩をふる。寒い地方ほど塩分の多い食品を好み、温暖な地域は塩分濃度は少なく、塩分を控えめにし、酢を併用し利用することが多い。乾燥地域や高温の地域はスパイスによる辛味成分を利かす調理をしている。
欧米人が肉を焼くときは、塩を肉にすり込むように加えて焼くことが多い。

薫製も直接加熱に近い加熱であるが煙で燻す調理は、日本では囲炉裏を利用していた地域に多く、囲炉裏に長く火を入れている山間地や北陸、上信越、東北、北海道に多く見られ、西日本の温暖な地域ではあまり見られない。一昔前には、東北や北陸の山間地では、農家の家でイワナやあまごが串に刺され囲炉裏の上にずらりと並んでいた時期もあった。
村上市では鮭の塩引きを囲炉裏の近くで干し、薫製に近い仕上がりが見られたが、最近は塩引きだけが多い。塩引きで乾燥した状態から、囲炉裏のある室に移されしっかり薫製状態になった鮭は、絶品であったが、最近は見られない。
最近は、田舎に行っても囲炉裏の生活が極端に少なくなっているが、囲炉裏の生活から生まれた食文化の味覚、鉄鍋をとろ火で加熱し仕上げる、のっぺ汁、しょつる鍋、イモ鍋、熊鍋、しし鍋、けんちん汁、おほうとう汁は後世に永続し残しておきたい味覚が多い。

秋田では漬け物ダイコンのいぶし、"いぶりがっこ"が特産になっている。
北海道では、ニシンやほっけの薫製が古くから売られている。ヨーロッパでは薫製は暖炉を利用しており、暖炉の煙突の横に薫製を作る場所が設置されていた。ロシアやフィンランドではサウナの暖をとる場所に白樺の木を燻しマスやシャケそして鹿肉に塩をしっかりとまぶして薫製にして食べられている。深い雪のなかでサウナに入り、鹿肉の薫製をしっかりとかじりながら飲むウオッカは寒さを忘れる特別の味がある。薫製は暖を取る時期が長い地域の副産物のようにも見える。



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