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火に学ぶ

道元による調理の心得とは、「喜心」「老心」「大心」の三心が大切とされています。 それは主に食べる人への心配りを指しているのですが、科学の発展した今、調理時の熱エネルギーについての正しい知識をもつことで、人だけではなく環境へ配慮することも求められています。

火と文化

◆世界の加熱方法~間接加熱2

■湯がく、湯洗、湯煎
他に水を沸騰し調理する方法に蒸す調理、湯がく、湯洗、湯煎などがある。
日本調理では、蒸す調理が多く、いつ頃から始まったのかは定かではない。奈良時代以前から中国から伝授されていたと書かれている文典もある。
餅米を利用した、餅や強飯は、大きな蒸籠(セイロ中国ではチョンロン)で蒸して仕上げている。日本も中国も餅米は蒸しており、中国から伝授したことには間違いがないようである。
日本人の食事に欠かせない箸は、聖徳太子が中国から伝えたとされており、それまでは素手で食べられていたとされている。素手では、熱い餅や加熱した食事は食べにくく、調理加熱の種類が多くなったのは、箸が持つ機能によって進歩したと考えられる。

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京料理は蒸した調理が多い、蒸し寿司は新京極と四条の名物にもなっている他にも、蒸し豆腐、茶碗蒸し、卵豆腐、塩蒸し、酒蒸し、蒸し煮、蒸し焼き、南蛮蒸し、信濃蒸し、シンジョウ、蒸しカレイ、蒸し羊羹、蒸し菊、蒸しアワビ、蒸し菓子、柚子蒸し等がある。
蒸す調理の方法は、気化した水の粒子が素材に熱浸透し、素材をふっくらと膨張させ、素材に含まれている余分な水分や脂質を除去し、素材の味覚を引き出す効果があり、京料理が求める素材の味覚を引き出す調理方法と整合している。

湯がく、湯洗、調理方法は野菜の前処理加工に多く利用されている、他に湯煎などの方法もある。
湯がく調理は、野菜などでアク抜きの目的があるが、縄文人はドングリを食べていたとされてあり、縄文土器の底にドングリや栗、椎等の樹の実を入れて加熱した後が土器の層に残されているとされていた。
ドングリは加熱しても渋味が残り、あく抜きには灰を自然に利用していた可能性があり、山菜のあく抜きも灰の利用が多い。山蕗、つわぶき、蕨、ゼンマイなどである。
ホーレン草(1628年親民鑑月集に記載があり)既に西日本で多く栽培されており、あく抜きはこの頃から行われていたと見られる。
青菜を湯がくときは、塩を入れ、湯がいた後に変色が早い素材は、酢を利用する。
仕上がりの白さは、京料理の特長で、レンコン、白ウド、ゴボウ、ナガイモには、酢を入れている。
湯洗は魚や肉や骨等の脂肪質が多い素材の表面の脂質を流す目的で調理の前処理の技術である。
湯煎料理は最近では、調理の現場であまり見なくなった。
大変手間の掛かる料理で、大きな釜や鍋に水を沸騰させ、その中に手付きの小鍋を入れ、小鍋のなかで材料を練ったり、湯煎の調理である。練り味噌、卵の黄身酢、雲丹酢を練って水分を蒸発させ、利用する。
京料理の古い書物から日本人の繊細な料理の工夫が読みとれる。


■直物油を利用した加熱調理と文化

植物油を利用した加熱調理は世界では多い。
東アジアの中国を始め、西アジア、西ヨーロッパ、南米、中米、亜熱帯、熱帯にかけて、植物油を使い、高温で加熱する料理が多い。この地域は、口径伝染病の赤痢菌、コレラ菌を始め多くの食中毒の原因になる菌が自然界に多い地域に見られる。
植物油は、沸点が高く、オリーブ油などの沸点は300℃、短時間で約200℃の高温が得られ、多くの食中毒菌が短時間に死滅する温度である。
短時間に早く高温になることは、食材が持つ味覚や水分を逃がすことなく、加熱でき、早く調理ができる。

fire06.jpg中華料理は、生の食材に早く熱を吸収させ調理する方法であり、早い調理時間で仕上げている。
調理時間が短いことが特長である。
中華料理は高温と低温の切り替えが早く、火力の強さから作り出す味覚の整え方に他の調理では見られない特長がある。
早くから鉄の文化が発達し調理にその利点を生かしている。
飽食の時代に鉄人の料理番組があり、和食、中華、西洋料理が同じ時間内に仕上げ、その味覚を競い合う2時間番組が見られた。番組のおもしろさとは別に元来味覚を整える技法に大きな違いがあり、無理な競い合いと見るのが妥当である。

古代中国の銅の時代から鉄の時代になり、鉄文化から鉄鍋が完成し、油を使う調理が広く利用され、鉄鍋の製法と同時に植物油を利用する調理が広がったと考えられる。
中華の鍋に油を入れ、炒めたり、揚げる料理は、鍋の大きさから見ると鍋のなかに入れる食材の量は比較的少ない。
鍋の形状は、鍋全体に放射状に大きく広がり、鍋から熱放射をしながら、高温で調理する構造になっている。高温になった鍋から食材がこげないように、調理人が腕力で鍋を火から離したり、ゲートルでかき混ぜたり、火加減を工夫する調理である。
鍋の周辺から熱放射を高めないと具材がこげやすく、鍋を火元から持ち上げて具材を回転させながら調理をするのが中華料理の特長であり、日本料理の現場では見られない光景である。
加熱することによって油の味覚や香りと素材の味覚がからまり、油によって食材の味覚を内部に閉じこめながら調味料を加え、味を整えている。

世界には類似した調理があり、ポルトガルやスペインの旧植民地地域に油を利用する調理が多い。油の種類は、菜種、大豆、胡麻、オリーブ、ヤシ油、ひまわり、落花生、コーンなど油の原料が栽培されている地域によって料理が異なっている。
天ぷらの語源の説は一つではないが、日本では、室町時代に既に油を利用する料理がポルトガルから伝わったとされている。
天ぷら鍋も中華鍋と大変類似した調理の方法である。
天ぷらは、具材をかき混ぜたり、鍋を持ち上げず、中華料理の加熱とは異なり、具材の内容に合わせて、小麦粉と水を合わせたコロモを付け、コロモの厚さで熱バランスを取っている。
天ぷらは油のなかを具材が踊りながら、熱伝導を均一化する調理である。
薄い具材や熱の通りの早い具材にはコロモを厚く付け、内部まで熱が通りにくい具材では、始めに低温で時間を掛けて熱を入れ、2度目に少し温度を上げて、薄くこげ目をつけて仕上げている。
同じ油を利用しても天ぷらは鍋を動かすことはなく、混ぜる変わりに、コロモの水分と油の温度格差から生じる水分と高温の油泡を分散し具材が油の中で踊り加熱している。
中華料理は鍋を振り回し調理する、中華料理は火力の強さから味覚を作り、日本料理は低温で静かに加熱する。日本料理の現場では大きな音を立てることを好まない、中華料理は鍋とゲートルの音、鍋をかき混ぜる音がにぎやかに響きわたる。



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